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【税金】相続税をゼロに近づけるための相続税対策

相続税は、生前の準備次第では大幅に節税できる可能性のある税金です。

残された家族に負担をかけないためにも、相続に備えた対策を生前に考えておくことは大切です。

何から始めて良いのか全然わからないという方向けに「全員共通のもの」「富裕層のためのもの」「プラスマイナスどちらに転がるのかわからないので専門家に相談してからの実行がおすすめなもの」の3つにわけて紹介します。

またそれぞれの対策にどのような効果があるのかを解説しました。

相続対策を実行する方法とポイントを確認してから相続対策を始めていきましょう。

1.【全員共通】知っておきたい5つの相続対策

この章の対象となる方は財産(現金・不動産)をお持ちの全員です。

どんな家庭でも取り組みやすい具体的な相続対策を紹介していきますので実行してみましょう。

1-1.年間110万円の財産がゼロ円で子や孫に移せる贈与

「贈与をうけても税金がかからない上限枠のようなものがある」ということを聞いたことはありませんか。

毎年の贈与に対して税金がかからない贈与の枠を「暦年贈与(れきねんぞうよ)」といいます。

年間110万円の財産を移せる方法であり、正しくは、原則として「一人が一年間に110万円を超えるお金をもらう」と税金がかかります。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

対策方法年間110万円の範囲内で贈与する
効果毎年110万円ずつ相続財産を減らしていける

1)暦年贈与の効果

贈与税は、年間110万円の基礎控除があり、その範囲で贈与する分には税金がかかりません。(※年間110万円を超えたら課税されます。)

贈与税が非課税枠となる制度を利用すると財産をゼロで移すことができます。

手続きが簡単なのは、現金や預貯金などの金融資産を贈与することですが、贈与できる財産に制限はありません。

子3人、孫7人の合計10人にそれぞれ1年間で100万円ずつ贈与すると、贈与税の基礎控除額の110万円以下のため贈与税はかからず、1年間で1,000万円、税金を支払うことなく贈与することができます。

これを10年間続けていれば、10年で1億円、20年間続けていれば20年で2億円の財産を税金ゼロで移すことができる計算となります。

2)暦年贈与を行うときの注意点

毎年同じ相手に同じ金額を贈与していると連年贈与(贈与を毎年繰り返し行うこと)とみなされて税率が一気に上がり、高額の税金がかかってくるので注意が必要です。

連年贈与とみなされないために注意する点は4つです。

①毎年同じ日に振り込むのではなく、時期をずらす。

②金額を少しずつ変える。

③年によっては、110万円を少し超える贈与を行って、贈与税を納めておく。

④子どもの進学や入学にあわせて贈与する

など工夫をして連年贈与に当たらないことを示す必要があります。

上記の4つのポイントを踏まえた上で暦年贈与を効率的に行えば相続税の軽減を図ることが出来ます。

また贈与を行う際は、「本人が自らの意思であること」や「いつ、誰から誰に、いくら贈与を行ったのか」を客観的に証明するために”贈与契約書“を作成をしましょう。

相続開始前(死亡前)3年以内に行われた贈与については相続財産に加えて計算しなければならない点も注意が必要です。これは基礎控除の年間110万円以下の贈与であっても適用されるので注意してください。

そうならないためにも生前贈与は元気なうちに早めから開始し、長い時間をかけて財産を分けましょう。

勘違い①:110万円以内であれば何人からでも「もらえる」という考え方
勘違い②:贈与をする方の贈与総額が110万円という考え方

暦年贈与の非課税枠である110万円は”もらう人側”の限度額です。仮にお父さまから60万円とお母さまから51万円の計111万円もらった場合には、ご自身が贈与税の対象となり贈与税の申告と納税が必要となりますので注意が必要です。
逆に、財産をあげる人は、何人にいくらあげても自分が税金を払うことはありません。

1-2.住宅取得資金贈与

住宅取得等資金の贈与税の特例は、20歳以上の子どもや孫へ住宅資金を援助する場合に一定額省エネ等住宅の場合1,200万円)まで非課税となる制度です。

住宅取得等資金の贈与税の特例を受けるためには書類の添付が必要です。この特例を利用する場合、贈与された年の翌年2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を提出します。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

対策方法20歳以上の子や孫へ住宅取得資金を贈与
効果住宅資金の援助をする場合一定額まで非課税

1)住宅取得資金贈与の効果

20歳以上の子や孫が、居住する住宅の購入やリフォームを行うときに住宅資金の援助する場合、一定額まで非課税になります。

住宅取得資金贈与は暦年贈与の基礎控除110万円か相続時精算課税制度の特別控除2,500万円との併用も可能です。

【非課税限度額】
①住宅用家屋の取得等に係る対価の額または費用の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~平成32年3月31日3,000万円2,500万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,500万円1,000万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日1,200万円700万円

②上記①以外の場合

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間省エネ等住宅左記以外の住宅
平成28年1月1日~平成32年3月31日1,200万円700万円
平成32年4月1日~平成33年3月31日1,000万円500万円
平成33年4月1日~平成33年12月31日800万円300万円

2)注意点

住宅取得等資金の贈与税の特例を受ける際に注意すべき点は5つです。

①贈与を受けた人「一人につき」1,200万円まで非課税となる。(平成28年1月~平成32年3月省エネ等住宅の場合)

②直系尊属のため、配偶者の父母(祖父母)からの贈与については適用できない。

③特例措置を受けるためには3つの要件がある
→・贈与を受ける人のその年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
 ・新築・増改築ともに50㎡以上240㎡以下での床面積があること
 ・床面積の2分の1以上が居住するスペースとして使用されていること。

④不動産の贈与については非課税制度の対象にはならない。

⑤贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住宅等の引渡しを受けなければならない。

住宅取得等資金の贈与税の特例を受ける場合は上記の注意点をよく確認し不安な場合は専門家に確認しましょう。

1-3.小規模宅地等の特例で評価額を80%減額する相続対策

被相続人の居住用であった宅地等に高額な相続税を課した場合、被相続人が亡くなった後、相続人が居住できなくなってしまいます。

一定の要件を満たした宅地については、通常の評価額から一定割合の評価減を受けることができます。この制度を小規模宅地等の特例といいます。

これは、”② 評価額を下げる方法”です。

対策方法配偶者や同居している親族(要件あり)が使える小規模宅地等の特例を利用
効果土地の評価額80%減で相続税評価額を減額

1)小規模宅地等の特例の効果

相続財産を評価する際、土地には「小規模宅地等の特例」があり、適用されると相続税評価額を減額できます。

特例を使えるか否かで、相続税額が大きく変わってくるので相続税対策として最大限に活用することが重要です。

この特例は、1回の相続について、下記の面積まで適用を受けることができます。

選択特例対象宅地等上限面積軽減割合
特定居住用宅地等330㎡80%

居住用の土地を配偶者が相続する場合は、条件なしに居住用の小規模宅地の評価減が適用され、相続税評価額の80%が減額されます。

例えば、被相続人:父、相続人:子1人で、亡くなった父の財産はすべてが宅地(5,000万円)だったとします。

小規模宅地等の特例によって、土地の評価額は80%減額され1,000万円になり、相続税の基礎控除額が3,600万円(3,000万円+600万円×法定相続人1名)のため、基礎控除以内となり相続税がゼロ円なります。

また住んでいる宅地を売却して納税資金にあてなければならない心配もなくそのまま家に住み続けることができます。

2)注意点

「小規模宅地等の特例」を使うためには3つの要件がありますので確認しましょう。

①特例が使用できる面積が決まっている。
→【330㎡】(約100坪)

②特例適用者が決まっている。
→配偶者や同居している親族(細かい要件により同居していない親族でも適用できる場合や逆に同居していても適用できない場合等もありますので専門家に確認しましょう)

③申告期限までは居住していなくてはいけない。
→配偶者以外の場合に限りますが、申告期限までは売却等できません。

適用要件や自分は対象になるのか等不安なことや疑問がある方は専門家に相談してみましょう。

1-4.生命保険で非課税枠(500万円×法定相続人の数)を最大限に活用

生命保険は、相続発生後の家族の生活費を保障する上で頼もしいだけでなく、相続税の非課税枠を最大限に活かすと節税対策として有効です。

これは、”② 評価額を下げる方法”です。

対策方法相続人が受取人になる
効果保険金を受け取ると一定額まで非課税になる

1)生命保険の効果

生命保険を活用することの効果は下記の3つです。

①亡くなったときに現金(保険金)が受け取れ、納税資金の確保ができます。

②生命保険は受取人が指定でき、法定相続分とは別扱いになり、特定の相続人に多めに財産を残すことができます。また相続人以外の人に財産を残すこともできます。

③相続人が受け取ると、一定額まで非課税になり節税対策として使用できます。(500万円×法定相続人の数

2)注意点

生命保険は、契約者、被保険者、保険金の受取人の設定によって課される税金や非課税枠が使えるかどうかです。

下記の表で確認しましょう。

【父が死亡した場合】

契約者被保険者受取人相続の内容種類
死亡保険金相続税
死亡保険金相続税
死亡保険金所得税
保険契約の権利相続税

父が契約者・被保険者の場合、受取人は母でも子でも死亡保険金は相続税の対象となり非課税枠が使用できます。

しかし母にはもともと配偶者の税額軽減の特例があり、1億6,000万円まで非課税のため生命保険の非課税枠を使っても意味がないケースがあります。

また母が死亡した際、その保険金にかかる相続税が高額になり、子の負担が増えるリスクもあります。

二次相続まで考えて生命保険の活用を行いましょう。

1-5.お墓など非課税財産を確認して賢く節税

お墓などの祭祀財産(位牌,仏壇,墓碑,墓地など)は相続税の非課税財産です。

お墓を購入する際、都道府県によって差がありますが東日本では平均約150万円~300万円ほどの費用がかかります。生前にお墓を買っておくと、相続税が節税できるので、有効な相続税対策のひとつとなります。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

対策方法生前に被相続人がローンを残さずお墓などを購入する
効果相続税がかからない財産になる

1)非課税財産の効果

相続税法では、「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝しているもの」は、「相続税がかからない財産」と認めています。

生前にお墓を現金一括で購入することで財産を圧縮でき、相続税の負担も軽減されます。

2)注意点

非課税財産を活用した節税対策における注意すべき点は3つです。

①相続があった後にお墓を購入した場合は、節税にはならない。

②お墓を生前に購入したもののその代金をまだ払っていない状態の場合は、債務控除として認められない。

③黄金の仏像や骨とう品としての価値があるものなどは、非課税財産として認められないこともある。

非課税財産と認められなかった!とならないためには、お墓・仏壇は生前に現金一括で購入しておくことがおすすめです。 

2.年間所得が1,000万円以上、純資産1億円以上ある人は知っておきたい3つの相続対策

この章の対象となる方は、年間所得が1,000万円以上、純資産1億円以上ある方です。

2-1.アパート・マンションを経営して節税

財産の中に占める土地の割合が大きい場合は、多額の相続税を納付しなくてもすむように、事前の対策が必要です。

ここでは、土地を活用した相続対策を説明していきます。

これは、”② 評価額を下げる方法”です。

対策方法現金・土地がある人
効果評価額を下げることができる

1)アパート・マンションの節税効果

相続対策でアパートを建築する効果は3つです。

①土地の評価減
→相続税の計算において、土地は、大きさや形、高低差や利用状況など、様々な個別事情によって、評価額を下げることができるという特徴があります。 アパート建築された土地の場合は、「貸家建付地」という扱いになり、「自用地」として利用されている場合と比較すると、評価額を下げることができます。 (借地権割合に借家権割合を乗じた金額分差し引くことができます)

② 建物の評価減
→アパートは貸家なので、相続税における評価額は、借家権(一律30%)の評価額を差し引いて計算します。そのため「固定資産税評価額」からさらに3割ほど安くなります。

③ 控除の増加
→アパートを建築する際、金融機関から借り入れをすると借入金を債務として控除することができます。

例えば、銀行から1億円を借り入れて、1億円のアパートを建てたとします。相続時このアパートは、評価額1億円の財産になるわけではありません。

建物については、固定資産税評価額が相続税評価額になります。建物の固定資産税評価額は市区町村によって異なりますがおおむね建物価格の5~6割程度です。

この場合、アパートの引き渡し時点では約6,000万円*にまで下がります。つまりアパートを建てると相続財産が4,000万円分減ることになります。(*固定資産税評価額を建物価格の6割と仮定した場合)

2)注意点

アパート・マンション経営は相続対策として有効ですが、賃貸経営には空室リスクがあります。入居率が下がると、賃貸割合が下がり、評価減の効果も下がりますので注意しましょう。

また入居率や空室率を調べて利回りをきちんと計算し、計画を立てて行動しましょう。

2-2.養子を活用して基礎控除額を増やす相続対策

相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で計算されます。

孫や実子の配偶者を養子にすることで相続税の基礎控除額を増やせば、相続税を抑えることができるというわけです。

しかし、法定相続人の数に含めることのできる養子の数は、税法によって定められていますので注意点もしっかりと確認していきましょう。

これは、”③ 相続税の仕組みを上手く利用する方法”です。

対策方法孫や実子の配偶者を養子にする
効果相続税の基礎控除額が増える

1)効果

養子縁組を行うことの効果は5つです。

①相続税の基礎控除額が増える

②生命保険の非課税額が増える

③死亡退職金の非課税額が増える

④相続人が増え、一人当たりの相続分が減少することで、税率が下がる

⑤相続を一世代飛ばせる

例えば、下記の場合、実子のみだと控除できる額は、合計7,800万円に対し、養子を1人増やすと控除できる額が合計9,400万円になり、控除額が1,600万円もアップします。

2)注意点

養子縁組の際、注意すべき点は2つです。

①税法によって法定相続人の数に含めることができる養子の数が決まっている
→・実子がいる場合が、養子のうち1人まで
 ・実子がいない場合が、養子のうち2人まで

②養子となった孫に対する相続税額は2割加算される

また養子縁組することで実子と養子が権利関係で揉めたりと相続争いに発展する可能性もあります。

養子縁組を考える際はご家族とよく話し合いをすることをおすすめします。

2-3.財産を寄附して非課税となる相続対策

ここ数年、お世話になった学校などに遺産を寄附したいと考え、公益団体や国、地方公共団体に寄附する人が増えてきています。

遺産を寄附した場合は、相続税が非課税となる特例があります。しかし、要件を満たさなければ特例を受けられないので注意が必要です。

寄附が非課税となる要件、注意点について説明していきます。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

対策方法公益団体や地方公共団体に遺産を寄附
効果寄附した金額に対して相続税の課税対象から外す特例を受けることができる

1)効果

財産の一部を寄附した場合、寄附した金額に対して下記のような特例があります。

・相続税の課税対象としない
・寄附した金額を相続税の課税対象から外す

相続、遺贈により財産を受け取った側が寄附をしても特例を受けることができますので節税につながります。

相続税の非課税財産となる特例を受けるには、以下の3つの要件をすべて満たしましょう。

①相続または遺贈によって取得した財産を寄附すること

②寄附をした先が国や地方公共団体、教育や科学の振興などに貢献する公益法人であること

③相続税の申告期限(相続開始後10か月以内)までに寄附すること

2)注意点

次の場合にはこの非課税の特例は適用されず、その寄附または支出した財産の額は相続税の課税価格に算入されることになるので注意しましょう。

①寄附等を受けた日から2年を経過した日までに、特定の公益法人または特定の公益信託に該当しないこととなった場合や、その公益法人が寄附により取得した財産をその公益を目的とする事業に使用していない場合。

②その寄附等をした人や、その親族など特別の関係がある人の相続税または贈与税の負担が不当に減少する結果になると認められる場合。

3.専門家に相談してからの実行がおすすめな5つの相続対策

制度を使用するタイミングによってプラスになるのかマイナスになるのか変わってくる対策もあります。

慎重に判断して行わなければせっかく行った対策がマイナスになってしまうというリスクがありますので相続に強い専門家に相談してから実行することがおすすめです。

3-1.贈与税を仮払いし相続税と精算する相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、「親が子どもに生前贈与したとき、2,500 万円まではひとまず税金を払わなくていい。その代わり、親が亡くなって残りの財産を相続したときに、相続した財産(亡くなってから受け取った財産)と贈与された財産(亡くなる前に受け取った財産)を加算して相続税を計算する」という制度です。

これは、”③ 相続税の仕組みを上手く利用する方法”です。

1)効果

生前に贈与した額2,500 万円までは贈与税は非課税で、相続時に加算されて相続税がかかります。

相続時に加算される贈与財産の額は、贈与時点での評価額です。

仮に生前贈与で評価額2,000万円の土地を贈与したとします。けれどこの土地の価値がいつまでも同じだとは限りません。相続時までに1,000万円の価値まで下がってしまえば、相続時に余計な税金を払うことになります。

区画整理や都市開発事業の計画が決まっていて、値上がりが期待できそうな事実がわかっている土地であれば、この制度を利用したほうが有利になる可能性があります。

2)注意点

相続時精算課税制度を利用する場合には注意をしなければいけないことが3つあります。

①相続時精算課税制度を選択すると暦年課税を使うことができない
長期にわたって贈与を受ける場合には、暦年課税のほうが得になる場合があるので注意が必要です。

②小規模宅地等の特例の適用ができない
相続時精算課税を利用するとこの特例が適用できなくなります。自分が住んでいる土地などを贈与しようとする場合には注意が必要です。

③相続時に課税される
相続時精算課税制度は贈与時には贈与税がかからなかったとしても相続時には、贈与を受けた財産を相続財産に加算することになります。

相続時精算課税制度は、相続時に相続税を支払うのがあきらかな人の場合は、あまり意味がありません。せっかく贈与しても相続が発生したときに贈与した財産がすべて相続財産に戻されるため必ずしも節税になるとは言えないからです。

この制度には多くのデメリットが存在するので将来的に得か、損かの判断が必要です。 判断に関しては非常に難しいので相続に強い税理士に相談した上で利用を検討しましょう。

3-2.結婚20年以上の夫婦が対象の贈与税の配偶者控除

夫婦間で居住用不動産(自宅など)を贈与する場合は、「贈与税の配偶者控除」という特例を受けることができます。

この特例は結婚して 20 年以上の夫婦が対象です。 (※同じ配偶者間では 1 回しか適用できません。)

これは、”① 財産を減らす方法”です。

1)効果

自宅や住宅資金、土地などの居住用不動産を贈与するときに限って、2,000 万円が控除され、110 万円の基礎控除と合わせると 2,110 万円までは非課税になります。

2)注意点

土地の名義変更にともなう諸費用がかかるため、費用をかけてでも配偶者に贈与したほうが有利になるかどうか、事前に相続税の確認をしておきましょう。

3-3.結婚・子育て資金贈与を一括で贈与すると1,000万円まで非課税

結婚・子育て資金贈与とは、子や孫に結婚、出産、子育ての資金としての費用を一定額まで非課税で贈与できる制度です。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

1)効果

結婚・子育ての支払いに充てるため、直系尊属から贈与を受けた場合、金銭等のうち1,000万円(うち結婚式等の費用は300万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。

対象は、結婚に際して支出する婚礼費用、住宅費用、出産・子供の医療費、保育料等です。

2)注意点

結婚・子育て資金贈与を行う際は下記の3つに注意しましょう。

①金融機関で手続きが必要

②50歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる

③50歳満了時までに贈与者が亡くなった場合、残高は相続税の課税対象になる(相続税の2割加算はない)

3-4.子や孫に対して教育資金を一括で贈与すると1,500万円まで非課税

教育資金贈与とは、子や孫などに対して教育資金を贈与する場合、一定額までが非課税になる制度です。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

1)効果

受贈者30歳未満の方の教育資金に充てるため、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた場合、信託または金銭等のうち、1,500万円(うち学校等以外は500万円)までの金額については、一定の要件を満たせば贈与税が非課税になります。

対象は、学校の入学金や授業料・習い事・塾代、通学定期代や留学渡航費等です。

2)注意点

教育資金の一括贈与を行う際は、下記の2つに注意しましょう。

・金融機関で手続きが必要

・30歳時の残高はその年の贈与税の課税対象になる

3-5.家族に財産を引き継ぐために信託を活用する相続対策

家族に財産を引き継ぐための方法の一つとして信託を活用する方法があります。

その中でも相続対策として注目されているのが家族信託(民事信託)です。二次相続まで含めた幅広い相続対策の一環として活用することができます。

これは、”① 財産を減らす方法”です。

1)効果

家族信託の効果は4つです。

①財産管理の手数料を節約できる

②高齢の親が住む自宅などの少額の財産でも利用しやすい

③将来のことを定めておけるので二次相続まで含めた対策が可能

④家族信託は中小企業の事業承継対策にも有効

2)注意点

家族信託を行う際は、下記の2つに注意しましょう。

①争族につながる可能性がある。 →新しい制度のため、判例も少なく、必ずしも相続対策になるとは限りません。

②金融実務の整備が整っていないため、信託口座を開設することができる金融機関が限られている。

③信託不動産の損失は、被信託不動産の利益と損益通算ができず、翌年への繰り越しもできない。 →これは税法上で定められています。

④受託者無限責任になる。

注意点にもあるように家族信託は新しい制度です。家族信託を熟知している税理士が少ないことも注意点の一つとして挙げられます。

家族信託に興味を持たれている方は必ずその道に精通した税理士に依頼することをお勧めします。

4.まとめ

相続対策は早めに実行することによって大きく節税ができる可能性があります。

しかし、節税のために行った土地活用がうまくいかずに最終的に財産を失うことになったり、不公平な贈与により相続時に争いになったりすることもあります。

相続対策を実行する際はトラブル回避とのバランスを考えることが大切です。

相続におけるトラブルはどの家庭でも起こる可能性がありますので「我が家は大丈夫」と思わず、生前から準備をしておきましょう。

少しでも不安がある方は、相続税専門の税理士にご相談してみてください。

当サイトからご相談も可能です。

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